BYDラッコ受注1,500台は好調か失速か?年内1万台目標を検証

BYDの軽EV「ラッコ」が、発売から約1か月で累計約1,500台を受注しました。

数字だけを見ると、海外メーカーの軽EVとしてかなり順調なスタートに見えます。しかしXでは、好調と評価する声がある一方、すでに勢いが落ちているという見方も出ています。

どちらが正しいのか。ポイントは1,500台という大きさだけでなく、そこに至るまでの受注ペースです。

約1,500台を受注しても登録は81台

BYD Auto Japanが2026年9月3日に明らかにしたところによると、ラッコは7月28日の発売から8月末までに累計約1,500台を受注しました。

約8割がBYDにとっての新規顧客で、最上級グレードの「300 Premium」も8割を超えています。

一方、8月に実際に登録されたラッコは81台でした。ただし、ここは受注と登録を分けて考える必要があります。

8月に登録されたのは主にエントリーグレードの「200」です。受注の中心となっている300 Premiumは9月中旬以降に着船し、9月後半から本格的に納車される予定です。

そのため、81台という登録台数だけを見て、売れていないと判断するのは少し早いです。受注した車両がまだ日本に届いていないという、供給側の事情が大きく影響しています。

2週間で1,000台、その後は約500台

Xで評価が割れている理由は、受注の増え方にあります。

ラッコは発売から2週間で1,000台を突破しました。しかし、8月末までの約3週間で増えたのは約500台です。

発売直後の話題性が高い時期と、その後を単純比較することはできません。8月はお盆休みがあり、BYD販売店の平均稼働日も16日でした。それでも、初期の勢いがそのまま続いているわけではなさそうです。

さらにBYDは、2026年末までに1万台を受注する目標を掲げています。8月末時点で残りは約8,500台。9月から12月まで、毎月2,000台を超える受注が必要になります。

約1,500台という初動は十分に評価できますが、年内1万台を達成できるペースかと聞かれると、現時点ではかなり厳しく見えます。

最安モデルより300 Premiumが選ばれた意味

個人的に気になったのは、300 Premiumが受注の8割を超えたことです。

ラッコの価格は「200」が214万5,000円、「300 Plus」が239万8,000円、「300 Premium」が249万7,000円です。国のCEV補助金15万円を差し引くと、200は199万5,000円になります。

広告では200万円を切る価格が目を引きますが、実際の購入者は安さだけで選んでいません。

200の一充電走行距離は210kmなのに対し、300 Plusと300 Premiumは320kmです。さらに300 Plusと300 Premiumの価格差は9万9,000円。ここまで来ると、装備の充実した最上級グレードを選びたくなるのも自然です。

EVはカタログ上の最大航続距離を毎回使い切るわけではありません。それでも、充電できる場所が限られる人や、冬場も余裕を持って使いたい人にとって、110kmの差は無視しにくいと思います。

成功か失速かは秋の登録台数で分かる

今回の約1,500台は、ラッコが日本市場で相手にされていないという見方を否定するには十分な数字です。BYDにとっての新規顧客が約8割という点からも、既存オーナーだけで作った受注ではありません。

ただし、発売直後の受注をそのまま年間販売へ延長するのも違います。年内1万台は、現在のペースからかなり離れています。

購入を検討する側にとって重要なのは、目標を達成するかどうかより、受注した車両が予定どおり納車されるか、販売店や整備体制が台数の増加に対応できるか?です。

ラッコは初動には成功した。ただ、年間目標を達成できるほど売れ続けるかはまだ分からない。9月後半から10月にかけて300 Premiumの登録がどこまで増えるかで、1,500台の受注が本当の販売実績へ変わったのかが見えてきます。

参考・出典

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