中国で、EVのドアハンドルをめぐるかなり大きなリコールが発表されました。
対象はテスラだけではありません。Xiaomi、XPeng、Leapmotor、Geely系など複数メーカーに広がり、緊急時に使う機械式ドアリリースが「見つけにくい」「操作しにくい」ことが問題になっています。
普段の乗り降りではほとんど意識しない部分ですが、事故や電源喪失時には話が変わります。個人的には、今回の件は「EVだから危険」という単純な話ではなく、電動化とともに増えたドア設計を改めて見直すニュースだと感じました。
中国で約430万台、テスラは約298万台が対象
ロイターによると、今回のドア開閉に関するリコールは中国で約430万台。中国では過去最大規模の自動車リコールとされています。
このうちテスラは2,975,910台で、対象には中国製・輸入のModel 3、Model Y、Model S、Model Xが含まれます。
テスラの対応は、大がかりな部品交換ではなく、緊急用の機械式ドアリリースを分かりやすくする警告ラベルの追加とOTAアップデートが中心です。
OTAは、車を入庫せずソフトウェアを更新できる仕組みです。今回テスラは、衝突後に窓を自動で下げる制御も追加するとしています。リコール開始は9月25日の予定です。
背景には中国の規制強化があります。中国では2027年からドアハンドルに関する新しい安全基準が始まり、機械的に開けられる仕組みを求める方向です。格納式や電子式を多用してきたEV各社にとって、デザイン優先だけでは済まなくなってきました。
Xでは「テスラだけの問題なのか」という反応も
Xでは今回のニュースを受けて、「テスラの台数が突出している」という反応がある一方、「同じような設計は中国メーカーにも広がっている」という声も出ています。
実際、今回の対象はテスラだけではありません。販売台数が多く、このタイプのドア設計を早くから採用してきたテスラが数字の上で目立っている面はあります。
ただ、「警告ラベルとソフト更新だけで十分なのか」という疑問はもっともです。
緊急時に必要なのは、知っている人なら操作できることではなく、初めて乗った人でも迷わず使えること。ここは普通の便利機能とは基準を分けて考える必要があります。
EVでは“電源が落ちたあと”まで考えておきたい
テスラを含む最近のEVは、ドアを開ける操作ひとつ取っても電子化されています。普段は便利ですし、デザインもすっきりします。
ただ、事故で電源系統に問題が起きたときには、最終的に機械式の仕組みへ頼る場面があります。
今回のリコールで気になったのは、その非常用操作が「存在するか」だけでなく、「すぐ分かるか」まで安全性として見られ始めたことです。
これはかなり大事だと思います。オーナー本人が知っていても、家族や友人、初めて乗る人まで知っているとは限りません。まして事故直後なら、落ち着いて取扱説明書を確認する余裕はありません。
今回発表されたのは中国市場でのリコールです。日本で乗っている車への対応とは分けて考える必要があります。
それでも、電子式ドアを採用するEVに乗っているなら、非常時にどうやってドアを開けるのか。一度確認しておく価値はあると思います。
購入判断より先に「非常時の操作」を確認したい
今回の件だけでテスラやEVを避ける必要があるとは思いません。問題になっているのはバッテリーやモーターそのものではなく、緊急時のドア開閉という安全設計です。
特にテスラの後部座席の緊急脱出手動ノブがわかりにくいところにあるため、後部座席に座る人にはあらかじめレクチャーしておいた方が良さそうです。
ただ、安全に関わる部分を「ソフトで直せるから便利」で終わらせるのも違います。OTAで改善できるのはテスラの強みですが、物理的な操作性まで含めて分かりやすい設計にすることは別の話です。
EVを選ぶとき、航続距離や充電速度ばかりを比べがちです。しかし今回のニュースを見ると、停電時や事故時にドアをどう開けるのか、同乗者でも迷わず操作できるのか。
こうした部分も、車選びで一度確認しておきたいポイントだと改めて感じました。
参考・出典
・中国 国家市場監督管理総局「特斯拉(上海)有限公司、特斯拉汽车(北京)有限公司召回部分国产及进口纯电动汽车」(2026年8月21日)
・Reuters「Tesla and others begin record vehicle recall in China」(2026年8月21日)

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